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哲学・思想の専門古書店「星林堂」店主の日々録
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星林堂は7月に一周年を迎えました。
ご利用いただいている皆様、そして支援をしてくださった皆様に、心より感謝申し上げます。

さまざまな発見と出会いがあった1年でした。
もうずいぶん長い間、星林堂の屋根の下で生活している気分になっていますが、まだ1年。
縁あって星林堂にやってきた本たちの寿命からすれば、一瞬にすぎません。
これからも、地道に息長く、本を手渡す役割を担っていきたいと思っています。

今後とも星林堂をよろしくお願い申し上げます。
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3月4月と他の用事に忙殺され、ようやく2ヶ月ぶりのブロク更新です。

知人から「時々覗いてるけど変わってないね」となかばあきれ顔のお言葉をいただくことも。
自分の怠慢さに恥じ入る一方で「ああ、見てくれてるんだ」とちょっぴり嬉しくもあり。
時には親切なお客様から商品の記述間違いを指摘していただくこともあって、ネット上とはいえ店を開いている以上はもっと店の環境整備や商品管理に手をかけねば、と反省しきりです。

連休中に哲学を中心とした新着本を30冊ばかりアップする予定です。
研究室でも紹介していきますので今後ともよろしくお願いいたします。 




         ただいま

    喧騒の森を駆け抜け
    自縛の殻を破り
    帰ってきた

    独り の 場所

    放り投げていた
    空の仕事をするために
    夕凪の海に風の歌をさがし
    暗闇の中で光を紡ごう

    遠い昔 生きていた
    私に繋がる誰かがみつけたその場所に
    いつか 私の仕事をひっそり納めよう

    遠い未来
    私と繋がっていく誰かにとって
    永遠のカタルシスに
    なるように

                  中谷芳子詩集 『S i ・ o r i 』 扉の詩より

詩人・中谷芳子さんは、私の高校以来の友人であり、敬愛する芸術家の一人です。
彼女の内に潜む深い思想と洗練された芸術性は、30年を超える交流の中で、常に私に新鮮なインスピレーションを与えてくれました。
内面からあふれ出す思いを、決して声高に語るのではなく、うっかりすると聞き逃してしまうくらい静かなモノローグでつぶやく・・・少女時代から変わらない彼女の詩作スタイルです。彼女が誘う深みをゆらゆら沈静していると、時に残酷なほど厳しい自己分析や熱い衝動の礫がカウンターパンチのように飛んできて、思わず痛みを感じてハッと覚醒させられるのです。

『S i ・ o r i』 は5章から構成されています。「戦争を知っている大人たちへ」と題された第1章は、中谷さんの思想を形作る一つの大きな核だと思われます。13歳で原爆で亡くなった叔母様の影を自らに重ね、その声を代弁すること・・・それこそが彼女が時空を超えて届けたい言葉なのでしょう。「十三歳」の詩を読むたび、数年前の8月6日、平和祈念式典でお母様とともに慰霊碑に祈りを捧げていた彼女の姿を思い出します。

もう一つ特筆すべきは、最後に収められている「栞」という詩です。詩集のタイトルにもなっているこの一編は、数年前、私たちの母校である広島基町高校の文化祭で、書道部の生徒さんたちによる書の題材として選ばれました。会場の壁一面に貼られた白紙に、若者らしいのびやかな筆使いで鮮やかに描き出された詩。紙面から今にも飛び立つような勢いにあふれた書は、見る者に爽やかな感動を与えてくれました。書の前にたたずむ私たちは時空を超えて17歳の少女に戻り、そして、ここから未来へと続く物語に思いをはせたのです。

   幾度 それを
   挟んできただろう
   読みかけの頁ばかり増え
   完熟しないまま
   両手いっぱい荷物を抱えているわたし

   物語の続きは
   期待するほど
   おもしろくはないかもしれない

   けれど
   栞が教えてくれる頁が
   人生半ばの
   再スタート地点だ

   久しぶりに手に入れたスニーカーで
   物語の後半を威勢よく
   駆け抜けてみよう
   さわやかに手を振って
   ゴールする日のために

             『S i ・o r i』  「栞」より

中谷芳子さんの珠玉の詩集『S i ・o r i』 をぜひ多くの人に届けたくて、星林堂で販売させてもらうことにしました。
一部1050円、星林堂のサイトから購入できます。

ひとりでも多くの方に彼女の言葉が届きますように。

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写真右:大阪「チャルカ」の紅茶とチェコのお菓子「コラーチ」 写真左:チェコ製のカップとミルク入れ

昨年はサイトの立ち上げから古書の通販開始と新しいことの連続で、ヨタヨタしながら手探りで進むような状況でした。新しい年が始まり、今年こそじっくり本腰を入れて・・・と決意を新たにしたのもつかの間、やっぱり細事にとらわれヨタヨタオロオロ。気づけば早くも1月のなかば。ブログも半月以上更新できていないありさまで・・・いかんいかん!初詣で決意表明した意気込みはどこへいったと北野の天神様もさぞや呆れておられることでありましょう。今一度気を引き締めて、広大無辺な古書の海へと漕ぎ出さねば。

今年の目標は、まず哲学ジャンルの一層の充実。在庫の8割方がツレの専門領域であるドイツ関連で、フランスやアメリカ関連が品薄です。そこを補充したい。もう一つの目標は「絵本・児童書」のジャンルを独立させること。哲学・思想の専門古書店と謳っておきながら新着情報に絵本がズラリ!という状況は我ながら違和感がありました。哲学関係のお客様と絵本をお求めくださるお客様の双方に満足していただくためにも、区割りをはっきりさせたいと思っています。

暮れからアマゾンへの出品を始めました。激しい低価格競争に巻き込まれるのが怖くもあり、半年間は様子見だったのですが、試みに需要の多い実用書と絵本に限定して出品しています。出品するや否や注文が入り、アマゾン市場の大きさを痛感しているところです。
購入者側からすれば、出品数が多く、注文方法もシステマティックで、尚且つプライバシーにも配慮が行き届いている点、、アマゾン・サイトが使いやすいのも頷けます。が、売る方からすれば、壁を隔てて商売をしている感があり、やはりこれまでのように、星林堂サイトを訪問してくださったお客様とメールをやりとりしながら手渡しするつもりで本を売るほうがいいなぁと感じています。本が単なる取引の商品、「物」に変わってしまい、その価値を伝えられないような気がして・・・こんなことを言っていてはプロ失格でしょうか、、、。

さて、当ブログ恒例のスイーツ食べある記。写真左は大阪・北堀江にある「チャルカ」でいただいたチェコのお菓子「コラーチ」。お正月に関西に住む娘たちを訪ねた折、一緒に立ち寄りました。クッキーともスポンジとも違う食感で、甘ったるさはなく美味しかったです。写真右はその時に購入したチェコのティーカップ。素朴であたたかみのある色合いと懐かしい形に惹かれて、ミルク入れと一緒に購入しました。広口のカップは紅茶の色がきれいに映えます。
こういった雑貨もいつか扱ってみたいなぁと思いますが、これはまだずーっと先の夢のまた夢。いつか、いつか、と思いながら日々の雑事に追われているこの日常こそが楽しいのかもしれませんね。




[年末年始の営業のご案内]

12月31日と1月1日は営業をお休みさせていただきます。
ご注文いただいた場合、対応は2日以後になります。
悪しからずご了承くださいませ。
なお、商品の発送は4日からになります。

サイトの立ち上げ以来、手探りでやってまいりましたが
皆様のご愛顧、ご支援で、何とか年を越せそうです。
来年は在庫の拡充とサービスの向上にますます頑張って
いきたいと思っております。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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