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哲学・思想の専門古書店「星林堂」店主の日々録
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稲生物怪録と妖怪の世界
みよし風土記の丘にある歴史民族資料館に、「稲生物怪録」の展示を見に行ってきました。

「稲生物怪録」とは、1749年(寛延2)の夏、三次に住む16歳の稲生平太郎が一ヶ月間にわたり自宅で遭遇した怪現象を記録したもの。本人が記述したとされる本をはじめ絵本、絵巻が数種類残っています。国学者の平田篤胤に注目されたことから、全国に広まったようです。

実は5年前の2006年、同じくこの歴史民族資料館で大規模な「稲生物怪録と妖怪の世界」展が開かれ、ほとんど予備知識がないまま会場へ赴いたのですが、あまりの面白さにたちまちマイブームに。三次ではその後、毎年のように「妖怪」がらみの催しが開かれていますので、そのたびに「今年の趣向はどんなかな?」とワクワクしながら足を運ぶようになりました。

今年は「稲生物怪録」の写本2種類が展示され、ロビーにストーリーをパネルで解説したものが貼り出されていました。規模が小さくて少しがっかり。でも、2006年の「稲生物怪録展」の図録がゲットできたので、それだけでもまぁ良かったかな。

星林堂では、この図録と、児童書や絵本になった平太郎もの4冊を販売します。お岩さんや累ヶ淵といった日本の有名な怪談は、ドロドロした人間関係が描かれているものが多く、児童書向きとは言いがたいのですが、この「稲生物怪録」は主人公・平太郎の肝試し物語であり、成長の物語とも読むことができます。“成長”は児童書としては格好のテーマ。試練に打ち勝った平太郎を魔物の王「山ン本五郎左衛門」が賞賛し、褒美に願いが叶う木槌を手渡す場面は絵に描いたようなクライマックス(実際、絵巻になってるんだけど)で、登場する妖怪たちも他に類を見ないユニークさです。これを絵本にしない手はないよね。

魔王が残した木槌は今も広島市の国前寺に現存していてお正月にはご開帳されるらしいので、一度は拝見したいものと思っています。
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